回転工具つける?

旋盤に回転工具を装備するか、しないかはかなりの注意が必要だ。
 1.回転工具自体の金額が高い、平均で1個 20万円 それを最低6個購入する必要
  がある。
 2.回転工具を追加することにより、旋盤にC軸とY軸を装備しなければならない。
  300万円は覚悟しなければならない。
 3.制御装置もそれに対応した、プログラムを搭載する。
 4.側面側の回転工具の2個は、センタードリルと通常のドリルを使用することが多い
  ので、この2個は芯を同一にセットしたら、2度とはずせない、はずしたら再度芯だし
  が必要。端面側の回転工具2個も同様。よってタレットが12角の場合、4箇所は回
  転工具に占有されることになり、パーマネントツールの減少に伴い段取り時間に影
  響を及ぼす。
 5.X軸にY軸のスライドが追加されるため、寸法精度や剛性に影響がある。
 6.タレット本体部にモーターが内臓されているため、タレットの本体部の肥大化による干
  渉の問題が発生する。
 7.旋盤加工と回転工具の加工がワンチャックで済むので、複合的な加工の場合は強
  に威力を発揮する。
  
タレット全体像。
取り付け可能工具本数が12本のため、回転工具を
4個取り付けると、自由に使える工具が8本になって
しまう。
さらに、旋盤工具の外径、荒、仕上げの2本と、突っ
切り工具は芯高調整があるためはずせない、センタ
ードリル、通常ドリルも芯だしがあるためはずせない
よって自由に使える工具は3本に限定される。
側面回転工具でエンドミル加工をする
ところ。
黄色い丸で囲んだ部分はタレット本体
と芯押し台が干渉している。
回転工具を追加した場合は、回転工
具のみならず、旋盤加工に於いてもい
たるところで干渉の問題がある。

回転工具を装備していない旋盤であれば、
タレットがかなりワークに近づいても、黄色
い丸印の部分(タレット本体)の干渉はない


回転工具を装備した旋盤は、タレットが
原点復帰又は、待機するときに芯押し台
を使用していないにもかかわらず、タレッ
トと、回転センターが干渉する。


旋盤加工とフライス加工のもっとも単純な例
旋削加工とフライス加工を同時に行うため、
加工時間が短い、旋削加工部とフライス加工
部の寸法ずれがない。旋削加工とフライス加
工を同時に行う場合、回転工具があると非常
に強力。

旋盤に回転工具を搭載するにあたっては、「備えあれば憂いなし」は当てはまらない、
かえって、回転工具を付けたために災いすることも多い。
旋盤に回転工具を搭載する際は、慎重にシュミレーションして決定する必要がある。